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1946年に創立された愛知大学。その前身は、1901年に中国・上海に設置された東亜同文書院で、日本の海外高等教育機関として最古の歴史を持つ。設立当初から、地方の学術文化・社会の発展への貢献、国際的教養と視野を持った人材の育成を目指しており、まさに、昨今注目されている“グローカル(グローバル×ローカル)”な視点にも通じる。同大の英語教育ならびにCASECの活用状況について、共通教育科目の英語を担当する経営学部助教の地村みゆき先生、経済学部准教授のジェームス・ダン先生(2023年4月転籍)、教務課の久野高裕さんにお話を伺った。 (右) 経営学部助教 地村みゆき先生 |
愛知大学では、全学部共通の「共通教育科目」において、学生が「自律的な英語学習者」になれるよう、英語教育カリキュラムを組んできた。
経営学部助教 地村みゆき先生 |
「自律的な英語学習者とは、それぞれの分野において、英語を使って自ら高い専門知識を得ることができる人のことです。全学共通の英語教育では、自律学習を可能にする語学力に加え、国際的な視野や教養、自分のものの見方や判断の仕方を俯瞰(ふかん)的に捉える力、どう考えどう行動すべきかを論理的・批判的に判断する力なども含めて、グローバルマインドを養成することを目指しています」(地村先生)
1年生の必修科目は、英文読解力の向上を目指す「Reading I」「Reading II」、日常生活やビジネスシーンで役立つ英語力の養成を目指す「Practical English」(春学期)、テスト対策を行いながら総合的な英語力向上を目指す「TOEIC® I」(秋学期)。いずれも習熟度別に初級・中級・上級と3つのレベルに分けられており、それぞれの担当教員が個性を発揮しながら授業を行なっている。
「私のReadingのクラスでは、クリティカルシンキングに力を入れています。学生には自分なりの視点や意見をしっかりと持ってほしいと考えているため、授業ではテキストの範囲をカバーするだけに留まらず、さらに自分でリサーチをして情報を集め、分析し、考えることを大事にしています」(ダン先生)
「Practical Englishは大学に入学してすぐの学生が受講する科目なので、学生がワクワクしながら学べる内容にすることを心掛けています。例えば、海外ドラマを使って生きた英語の聞き取りをしたり、ドラマの背景にある文化を学んだりします。Practical Englishは学生に好評で、教員の私にとっても楽しい授業です」(地村先生)
なお、1年生の1月には全員がTOEIC® を受験。1年間学んだ集大成として、英語力の伸びを確認している。
経済学部准教授 ジェームス・ダン先生 |
選択科目が充実しているのも愛知大学の共通教育英語の特徴だ。2年生までの必修科目に加えて、「Communication Skills」、「Advanced Reading」、「Writing」、上級者向けのTOEIC®クラスや時事英語が学べる「Current English」、ゼミ形式の「English Seminar」などの多様な選択科目を、学生は自分の興味・関心や将来の目標に応じて順次受講することができる。ダン先生も、選択科目を複数担当している。
「私が担当するWritingの上級クラスでは、“Be an independent thinker.(自律的な思考力を持つ人になる)”をモットーに、学生の将来を見据えて、グローバル人材に不可欠な視点やマインドを培い、物事を深くクリティカルに考え、それを表現する力を養うことを目指しています」(ダン先生)
「Writing」や「Communication Skills」などの科目に並んで、教員の専門分野について英語で深く学べる「English Seminar」も人気がある選択科目の一つだ。アメリカ研究を専門にする地村先生の「English Seminar」も毎学期、多くの学生が受講する。
「私のEnglish Seminarでは、映画やドラマを使ってアメリカの歴史や社会、文化について学ぶことが多いです。ある年には、字幕なしのアメリカ映画を視聴し、日本語字幕を付ける活動をしました。ディクテーションをして聞き取った英語を書き出した上で日本語字幕を考えていくのですが、字幕には字数の制限があり、英語だけでなく日本語の力も必要になります。また、アメリカの歴史的な背景や文化を知らないと訳せない内容だったので、学生は字幕の作成を通して多くのことを学んでいきました」(地村先生)
教務課 久野高裕さん |
愛知大学が新入生のプレイスメントテストとしてCASECを導入したのは、2019年のこと。それまでも必修科目では習熟度別のクラス編成を行っていたが、ある課題があったと教務課の久野さんは振り返る。
「当時は、教員が独自に作成したプレイスメントテストを実施していました。入学直前にオリエンテーションを行い、そこで約1,700名の新入生にペーパーのプレイスメントテストを受けてもらっていたのですが、その集計作業がとにかく大変で。クラスをすぐに発表しなければならない関係で、ペーパーテストの回収、採点、スコアのデータ化、クラス分け…といった一連の作業を1日でやる必要があり、教員および教務課にとって大きな負担となっていました」(久野さん)
そこで、カリキュラムの改定を機に、プレイスメントテストの在り方を見直すことに。他大学の事例などを収集する中CASECの存在を知り、他のテストと比較・検討した結果、CASECを選択した。
「スコアの信頼性・妥当性に加え、1年次の最後に受けるTOEIC® スコアに換算できること、比較的リーズナブルな費用面もメリットでした。中でも決め手になったのは、スコアデータ返却までの時間の短さです。すぐに結果が確認できるので、入学直前に行うプレイスメントテストに使いたいという私たちのニーズにまさに合致していました」(久野さん)
CASEC導入後、まず現れた効果は、教員の負担軽減だった。ただでさえ忙しい年度の切り替わり時期に、大きな負担となっていたプレイスメントテストの作成、実施、採点、集計といった業務が、CASECの導入により大幅に軽減されたのだ。着任した際には既にCASECが導入されていたという地村先生だが、現在の活用状況についてこう語る。
「CASECのスコアに応じて、必修科目を初級・中級・上級の3つのクラスに分けています。レベルに応じてどの教材を使うか、何をするかを考えていきます。プレイスメントテストに関しては、教員側の負担はほぼないですね。CASECのスコアデータに関しても、とても扱いやすいです。TOEIC®スコアとも換算できるので、学年末に学生がTOEIC®を受けた際に、4月入学時からどれだけ英語力が伸びたかを把握する目安になります。また、CASECのスコアを参考にすることで、必修科目のPractical Englishの課外学習として取り組んでいるe-learningを、学生一人一人に適したレベルで課すことが可能になっています」(地村先生)
また、CASECは受験する学生にとっての負担も少ないと、地村先生は言う。
「私も実際にCASECを受けてみたのですが、30分程度で終わりました。試験時間には学生間で個人差があるとは思いますが、1時間以内には終わるでしょう。学生は集中力を切らさず受けられますし、受験に対する精神的な負担も小さいと思います。短時間で高い精度で英語力が測れると言うのは、CASECの大きなメリットだと感じています。また、扱う話題がビジネスに特化されていないので、高校を卒業してすぐの新入生が違和感なく取り組めるのも良いところ。個人的には、リスニングの問題に、アメリカ南部系、イタリア系、アジア系など、訛りのある英語話者が多く登場したのが、聞いていて面白かったですね」(地村先生)
現在、愛知大学では、新入生に対して自宅などでのオンライン受験を推奨している。受験時には基本的なルールを守るよう伝えているが、不正行為などは起きにくいと久野さんは言う。
「たとえ友だちと隣同士で受験して相談できる環境であったとしても、(アダプティブ(適応型)テストシステム(※1)のCASECの場合は)同じ問題を解いているわけではないので、答えを教え合うという状況は起こりにくいと考えています。また、万一、不正行為をして結果としてスコアが高くなったとしても、入学後に実力以上のクラスに配属されて苦労するのは自分ですから、学生にはメリットがありません。実際、これまでにトラブルなどはありません」(久野さん)
なお、パソコンやインターネットなど受験環境が十分でない学生に配慮し、名古屋キャンパスと豊橋キャンパスそれぞれで1日ずつ、大学でも受験できるよう会場を開設している。
50万冊を所蔵する愛知大学名古屋図書館で自習する学生
一昨年からは新たに、プレイスメントテスト以外のシーンでもCASECの活用が広がっている。
「本学ではプレイスメントテストで余った受験回数を、せっかくだから学生に有効活用してもらおうと考えたのがきっかけです。一昨年の夏休みに全学生を対象にCASECの受験希望者を募ったところ、2校舎合わせて200名弱の申し込みがありました。今後も引き続き希望者を募集し、英語力の腕試しに活用してもらう予定です。また、新型コロナウイルスの影響で海外留学や国際交流が低迷する中、オンラインで国際交流を図るプログラムを実施することになり、申込者の英語力を測るツールとしてCASECを活用しました。今後は、少しずつ状況が落ち着いて海外留学プログラムなども再開することが予想されるので、プログラムに参加する際の英語能力の判定・評価にも活用できるのではないかと考えています」(久野さん)
CASECの活用シーンを広げる一方、蓄積したデータの活用も進める予定だ。Practical Englishの課外教材としてe-learningを導入して丸3年が経ち、「効果を検証する必要がある」と地村先生。「CASECやTOEIC®のスコアのデータが蓄積されてきたので、今後はデータを活用してe-learningの効果検証などを進めていきたい」と締め括った。
※1 項目応答理論に基づいた信頼性の高いテスト「CASEC」は、日本初のIRT(項目応答理論)に基づいたCAT(コンピュータ適応型テスト」として開発された、英語コミュニケーション能力判定テスト。問題をランダムに出題するのではなく、受験者の解答の正解・不正解によって次の問題の難易度を変化させていくことで、従来のペーパーテストに比べて短時間で正確な能力測定が可能です。
※英検®は、公益財団法人日本英語検定協会の登録商標です。このコンテンツは、公益財団法人日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
※感染対策を十分に講じた上で取材・撮影しています。
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