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JR山手線の目白駅から徒歩1分という交通の便の良い立地。昔ながらの趣きある建築と、近代的な高層建築とが共存する緑豊かな学び舎は、都心にあるとは思えないほど、閑静で落ち着いた環境だ。幕末以来の歴史と伝統を受け継ぐ学習院大学は「ひろい視野、たくましい創造力、ゆたかな感受性」を持つ優れた人材の育成を教育目標に掲げる。そして現在、国際舞台へ自信を持って羽ばたくための「使える外国語」の能力を高めるべく、全学の外国語教育を担っているのが1997年に開設された外国語教育研究センターだ。学部の外国語教育の特色を熊井信弘助教授(応用言語学)に聞いた。 |
学習院大学 |
学習院大学で履修できる外国語は、英語、ドイツ語、フランス語、中国語のほか、ロシア語、イタリア語、スペイン語、朝鮮語、アラビア語の全9か国語。グローバル化の進む社会で、これからの日本人に求められる外国語科目を設置している。外国語教育研究センターは、外国人とのコミュニケーションの手段として、また異文化理解のため、さらに、日本人自身の自己理解のために、「使える外国語」の習得をめざした教育を提供する。
「センターを開設する以前は、学部ごとにカリキュラムを組んで外国語の授業を進めていました。文学的な色の濃い文献を読むことに重点を置いた指導でした。現在はセンターが大学の外国語教育を一手に担い、時代の流れに沿った内容を指導しています。学部によっては、専門分野の入門的な内容を英語を通じて学ぶこともありますが、原則的にセンターの英語教育は、総合的に英語力を高める教育といえます」と熊井助教授は話す。英語の場合は、「リーディング」を日本人教員が、「コミュニケーション」を主に外国人講師が受け持つ。それぞれクラスを「中級」「上級」「上級特」に分け、学力に応じた指導を受け、英語力を高めていく。さらに、上級や上級特を履修した学生には、外国人講師による「英語セミナー」も用意され、読解力や表現力をさらに向上させながら、国際社会で通用する総合的な英語力を養っている。また、履修希望者の中から毎年4月の選抜試験に合格した学生向けに「英語インテンシヴ・コース」という特別クラスも用意。外国人講師による集中的な授業など、恵まれた環境の中で、よりハイレベルな英語力を身につける。
また、法学部に新たに設置された「FTコース」は、3年間の学部教育と2年間の大学院教育を合わせた5年間で修士号を取得する特別選抜コースだ。1年次の冬に実施されるTOEICのスコアと面接によって学生を選抜する。ブリティッシュ・カウンシルによる90分の集中コースや、TOEFL対策のクラスがあるほか、カリフォルニア大学バークレー校での夏期研修も予定。英文雑誌やニュースの解読を通じて、国際政治や経済の議論も取り入れながら、国際機関や外資系企業への就職に必要な高い語学力や幅広い知識と教養を身につける。
学習院大学の学生は全員、入学時にTOEICを受験することになっている。その目的は学生自身が自分の英語力を把握することだ。試験の結果は、その後の英語学習の動機付けにもつながっている。そして、2年後に再度受験し、どれだけ英語力が伸びたかを測る。
TOEIC同様に英語力の伸びを見るために、今年度はCASECも一部、導入した。センターのプロジェクトの一つとして位置付けている。クラス全体での受験は4月、7月、1月の年3回。ほかに、学生にはIDが付与されるので、学内もしくは自宅からログインし、自由に受けることもできる。TOEICの試験日が近くなると、CASECで力試しをする学生も増えるそうだ。
熊井助教授は「学力の伸長度や授業内容の定着度の測定はもちろん、オンラインで受験することへの心理的な影響なども、学生へのアンケートを通じて調査したい」と考える。これまで受験した学生に感想を聞くと、「TOEICのスコアと同じ結果になった」「オンラインなので気軽に受けられる」といった声が上がったという。「学生たちにも違和感なく、受け入れられているようです。試験時間がわずか40分というのは、受験者にとっても、教員にとっても魅力的ですね。さらに、受験の履歴から学力の伸長度をデータ化できるので、指導内容を検討することにも役立ちます」と、CASECのメリットを強調する。
その一方で、改善を望む部分もあると言い、「文法問題の分量を少し減らしてでも、リーディングを入れてもらえれば、と思います。今の学生たちは大学に入学してくるまで、自ら英語の文章を読むという経験が不足しています。読んで内容を理解する力がどの程度あるのかを自身で把握し、その力を伸ばすためにも、リーディング問題がほしいですね。また、問題の難易度が上がるにつれ、聞き慣れていないなまりやアクセントの英語が流れ、リスニングが難しくなるという声もあります。英語のバリエーションが増えて難しくなるのではなく、リスニング内容が高度になっていくという方向で問題を作成してほしいと思います」と指摘した。
熊井助教授は現在、「CALL機器を英語教育にどのように活用できるか」という研究に取り組んでいる。学内には最新のコンピュータやAV機器を使って外国語を学べるCALL教室のほか、マルチメディア教室、LL自習室といった施設が充実している。担当している授業の一つは「音声変化で歌を学ぶ」をテーマに、ポップミュージックを聴き、歌詞に込められたメッセージを読み取り、歌手の半生を知るというもの。また、2年生以上を対象に、PC教室で行うインターネット上の動画ニュースを取り上げでディスカッションしたり、意見をまとめたりするという授業もある。動画を見て、音声を聴いて内容を理解するためにも、予習復習が欠かせない。そこで、学内webサーバに教材がアップロードされており、学生は自宅からでもアクセスして学習内容を事前に把握でき、わからないことがあれば調べておく。さらに、授業後には意見を掲示板に書き込んで、熊井助教授とディスカッションもする。
「文学的な作品に触れるのとは違って、音楽や日ごろ見聞きしている話題などを取り上げると、学生たちも興味を持って取り組みます。私の授業では、『読む・書く・話す・聞く』という英語の4技能をすべて使い、その能力を総合的に高めて行くことがねらいです。学生が授業でふれた内容について興味を持ち、さらに自分で深めていけるようになればと願っています」
今後はリーディング能力を高めるための「多読」や、リスニング力を高めるための「シャドーイング」を授業で取り入れ、バランスの良い英語力を習得し、英語を見聞きしたときに、瞬時に内容を理解できる力を養いたいという。「教える側がやる気と熱意を持って授業に臨めば、学生たちもそれに応えるように意欲的に取り組みます。これからも学生たちが社会に出てから役立つ力を身につけられる授業、そして、どこか心に残る授業を実践して行きたいものですね」と、にこやかに話した。
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