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「知・徳・体」の調和のとれた教育を目指している山形県山形市の日本大学山形高等学校・中学校。「ボーイズ ビー アンビシャス 若者よ 高き理想を」という出だしで始まる校歌のように、将来をしっかり見すえた志の高い生徒が集まっています。高校では「豊かな人間性を育み、自らの可能性を試し希望をかなえていくため」、特進コースやスポーツコースなど、特色あるコース編成で、生徒の進路に合わせた指導を行っています。一方、中学では教育指導を平成14年から大幅に改変。中高一貫教育の強みを生かした時間割りを考案しました。なかでも特に力を入れているのは英語教育で、生徒たちの学習進度を的確に計るため、中高一貫コースに進学した高校生に昨年よりCASECを導入しています。「受験用の英語を詰め込むのではなく、ずっと使える本当に役立つ英語を教えたい」という中学校英語科担当の渋井徹先生にお話をうかがいました。 |
日本大学山形高等学校・中学校 |
中高一貫クラスの特色のひとつとして、高校2年生までの5年間で高校3年生までの学習内容をほぼ履修してしまうことが挙げられます。それによって3年生では、それぞれの将来の進路希望に合わせた演習を行うことができます。
通常の中学校は1日6コマの授業が主流ですが、日大山形では月・水・金は7コマ。これにより、年間350時間平均の英語の授業が、665時間と倍近くの時間を割くことができます。
今まで大学受験や資格取得だけを考えた「読む・書く」が中心の英語教育を見なおし、本当に使える英語、また真の国際感覚を持った学生を育てるため、「聞く・話す・文化を感じる」ことを強化したレッスンを組み込みました。
生徒たちは入学するとまず、「フォニックス」(英語圏の子供が本を読めるように開発された指導法)で、英語のつづり字と発音の関係を、約20時間、学びます。しっかり基礎を押さえることで発音がうまくなるだけでなく、聞き取ることが容易になります。
次に、クラスを10人から15人のグループに分け、「少人数TT授業」を行います。TTとは、チーム・ティーチングの略で、1グループにネイティブ講師1名、日本人英語教師1名という2人体制。「Side By Side」をメインのテキストとして、主に会話中心の授業を展開します。また、週一回、オンライン英語学習「グローバルイングリッシュ」を取りいれています。これは、家庭でもIDとパスワードを入れればインターネットを通じて学習できます。
中学2年生までは、日本語による説明や文法、入試問題などをほとんど扱いません。ですから、ここまでは資格や試験に対して、思ったように成績が伸びないかもしれません。しかし、英語を英語として理解する基礎を築くことで、将来にも「生き残る」英語力がつくのです。
そのようにして身につけた英語を、実際に使ってみる機会を作ります。もちろん、普段の授業でもネイティブの先生が指導しますが、もっと自発的に話せる場を用意することで、生徒に英語への関心を高めてほしいとの教育方針からです。福島県にある英語研修施設「ブリティッシュ・ヒルズ」で、中学1年生の冬に1泊2日、2年生の秋に2泊3日の研修を行います。これは、建物がイギリスそのもので、日本にいながらにして、外国にいるような雰囲気を味わえるのですが、スタッフも英語しか話さず、さまざまな活動を行いながら、生活感のある英語を身につけます。
そして、2年生の終わりには、イギリスへの修学旅行を行います。現地のガイドさんについて、英語で説明を聞く機会や、現地のホテルマンともコミュニケーションを取るという今までの授業や研修の成果を試す場でもあります。「本場の英語は難しい」と生徒たちは驚きますが、物怖じせずに堂々とコミュニケーションを取れるのは、普段からネイティブの先生について学習しているからかもしれません。さらに、シドニーへのホームステイを希望する生徒もいます。
こうして英語に充分慣れて、3年生から本格的に英文法を学びます。会話中心の1・2年生の授業のなかで自然と中学3年生レベルまでの英文法は身についているので、3年生では高校1年生レベルの英文法の教科書を使用。高校入学後は通常の教科書等で地道に学習し、高校3年生では各自の進路に合わせた指導を行います。
私たちが指導しているのは、「総合力」であって、「受験力」のみではありません。ですから、一般の模擬試験の点数だけでは、なかなか成果が計れないのです。そこで、「どう生徒に自分の成長を実感をさせるか」と考えたとき、問題のバランスの取れたCASECを導入してみてはどうかと思いつきました。
昨年から中高一貫コースの高校1年生を対象に受験をさせてみましたが、リスニングは期待どおり、高い点数がでました。文法などで思いどおりの点数が取れなかった生徒も、授業で語彙力を増やしていくうち、目に見えて習熟度が上がってきました。生徒からの評判も上々で、ある生徒は「自分のレベルに合った問題が出題され、英検やTOEICと合わせて見られるところがいい」と話し、また別の生徒は「読解や文法など、どの分野が自分にとって苦手なのか分かるから、勉強方法を決められる」と答えています。
教員にとっても、どの生徒が何が苦手なのか、一目で分かるので、指導がしやすくなりました。今は中高一貫クラスのみ取りいれていますが、ほかのクラスにもいずれ広げていきたいですね。
英語教育を強化して、生徒たちの英語力が伸びたことは嬉しい限りですが、思わぬ副産物がありました。それは、日本文化を見なおそう…という気持ちが生徒たちから出てきたことです。
我が校のネイティブの3人の先生は、少々風変わり。まず、アイルランド出身のポール先生は、ボクシングのアイルランド・チャンピオンで、日本で武道を習っているそうです。そして、ホノルルマラソンに出場したり、チーズケーキを焼くのが好きなアメリカ出身のギャリー先生は、温泉が大好きで山形の日本家屋に住んでいます。尺八や日本の太鼓を愛するカナダ人のジョン先生は地元の花笠踊りの会に入り、練習に励んでいます。
「自分たちより、外国からやってきた彼らのほうが、日本文化の良さを知っている」ということに生徒たちは刺激を受けたようです。昨年、山形の花笠踊りへの参加を呼びかけたら、夏休み中にもかかわらず、8割近くの生徒が10回の練習に集まり、ジョン先生の指導のもと、見事な踊りを市民に披露しました。
英語を勉強することで、日本文化・地元の文化を見つめ直すことにつながるとは、思いませんでした。しかし、「お互いの文化を勉強し尊敬し合う」ところまで、生徒の気持ちを引き上げていくのが、本当の英語教育なのかもしれません。
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